2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「深い河(ディープ・リバー)」 遠藤 周作

自分の感じること、信じることに正直な大津。 汎神論(もしくは多神論というべきか)的考えを持つ大津は、唯一神を説くキリスト教から見ると異端なのだという。 そういう排他的な思考こそ、独善的ではないのだろうか。 救済の宗教といいつつ、偽善ぶった生臭…

「疾走」 上下巻  重松 清

どこの町にもありそうな風景が、どんどん壊れていく。 どこにでもいそうな家族が、どんどん壊れていく。 誰にでもあるまともなこころが、どんどん壊れていく。 すべて、ほんのちょっとした拍子に。 ってことは、自分だってそうなるかも知れないってこと? そ…

「破獄」 吉村 昭

「昭和の脱獄王」と呼ばれた白鳥由栄の話。 たいていは事実であろうけど、さすがに刑務所や犯罪については本来口外してはいけない事柄が多いため、やむなく『佐久間清太郎』というフィクションにしている。仮名を使ったTVの再現ドラマみたいに。 それでも…

「手紙」 東野 圭吾

まるで、録画していたTVドラマが、残り5分というところでテープ切れしてしまったようなエンディングだった。 「その先はどうなの・・・!?」みたいな焦燥感を誘う。 だけどそれは作者の巧妙なテクニックだ。決してネタが切れた訳でも、忘れた訳でもない…

「雨鱒の川」 川上 健一

魚を捕まえることと絵を描くことしかアタマにない少年・心平。 言葉がしゃべれないが、心平とは無二の仲の少女・小百合。 ふたりの恋の行方がみずみずしく描かれていていい。 最後まで理解しきれなかった南部弁の会話も、時代や地方色を否応なく表現できてい…

「高橋克彦の怪談」 高橋 克彦

氏のファンを自認しているつもりの僕ですが、これはちょっと...。 どこかで読んだ話ばかり(アンソロジーだから当然だけど)だし、正直あまり怖くない。 話もマンネリの「記憶」もの。消えていた過去の記憶をたどるようなストーリーがやたら多く、残念なが…

「塩狩峠」 三浦 綾子

時は明治。 キリスト教はまだまだ邪教とみなされ、異端扱いを受けていた。 そんな時代に北海道を中心に精力的に布教活動をした長野政雄という実在の人物がいる。 彼は、国鉄職員として働くかたわら、各地に足を延ばし伝道に尽くした。 上司や部下からの信頼…